2025年2月24日、東京・有明アリーナで開催された「Prime Video Boxing 11」にて、那須川天心(26=帝拳)が前WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(34=オーストラリア)と119ポンド(約53.9kg)の契約体重10回戦で対戦し、3-0の判定勝ちを収めました。
この試合は、那須川にとって世界タイトル挑戦への足掛かりとなる重要な一戦で、元王者モロニーを相手にどのような戦いがあるのかが注目されていました。
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試合内容:6回にピンチも最終的に判定勝利!
試合は那須川が序盤から持ち前のスピードと距離感を踏まえ、モロニーの攻撃をかわしながら正確なカウンターを展開でスタートした。 しかし、6回にはモロニーの右ストレート、一瞬膝が落ち込む場面もありました。
まさかの那須川は持ち直して、後半戦ではアウトボクシングをしながら試合をコントロール。 最終的にジャッジのスコアは98-92、97-93、97-93の3-0で那須川が判定勝ちしました。
試合後、那須川は「ボクシングの厳しさを心得た。これまでの試合とは多様な感覚で戦えた」とコメントし、プロボクサーとしての成長を実感したことを明かしました。
具志堅用高氏らYouTubeで様々な指摘「まだまだ課題も多い」
那須川の勝利は評価されることができ、ボクシング界のレジェンドである具志堅用高氏(元WBA世界ライトフライ級王者)や、他の識者からは冷静な分析とともにいくつかの指摘がありました。
1.「パワー不足が課題」
具志堅氏は自身のYouTubeチャンネルで、「スピードは世界レベル。しかし、パンチの決定力がまだ足りない」とコメントしました。 確かに那須川のパンチはヒット率こそ高かったもの、モロニーをグラつかせるほどのダメージを与えられなかったという指摘は、他の専門家からも上がっています。
元世界2制覇王者の長谷川穂積氏も「世界戦を見据えるなら、もっと相手を倒せる攻撃力が必要」と今後の課題としてフィジカル強化を挙げました。
2. 「6回のピンチが気がかり」
那須川は6回にモロニーの右ストレート、プロ転向初めて後ない危険な場面を迎えました。 具志堅氏は「あの場面でダウンしてみたら、判定はどうなったか分からない」とし、ディフェンス面の進歩が求められると指摘しました。
元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏も、「那須川は総合的に上回っていたが、世界戦ではあの一撃で試合を持っていられたこともある」と警鐘を鳴らしています。
3. 「血尿を出したことの影響」
試合翌日のインタビューで、那須川は「試合後に血尿が出た」と明かしました。 これに対して、元世界チャンピオンの井岡一翔氏は「ボクシングはダメージを積み重ねるスポーツ。尿血が出るのは体に相当な負担がかかっている証拠」と指摘。タフな戦いを続ける中で、ダメージの重要性が問われることになることは今回のインタビューからも確かです。
試合後の勝利と今後の展望
1.世界戦への期待が高まる
この試合を勝利で終えたことで、那須川の世界挑戦の可能性が大きくなりました。 現在、バンタム級(53.5kg)には井上拓真(WBA王者)、エマヌエル・ロドリゲス(IBF王者)、アレハンドロ・サンティアゴ(WBC王者)、ジェーソン・バン・ロサ(WBO王者)といった強豪が君臨しています。
関係者によると、那須川の世界タイトル戦は2025年秋にも実現する可能性があるということで、誰を相手に戦うのかが注目されています。
2. 井上尚弥との共闘、もしかしたら対決?
また、スーパーバンタム級(55.3kg)には『モンスター』井上尚弥が君臨しており、那須川がゆくゆくはこの究極に挑戦する可能性もあると言われています。
3. 課題をクリアし、より強い選手へ
今日の試合で見えた課題(パンチ力不足、ディフェンス強化、ダメージコントロール)を克服することができれば、那須川は真の世界王者候補として名乗りを上げることができるでしょう。
本人も「まだまだ強くなければいけない部分が多い。でも、成長していくのが楽しい」と思っており、ボクサーとしての意欲が感じられます。
まとめ:天心は「未完の大器」、世界戦へ向けた次なる挑戦に期待!
那須川天心はモロニーに判定勝利し、世界戦へ大きく前進しました。 しかし、具志堅用高氏らの指摘にもあるように、「まだ未完の大器」であることも事実です。 パンチ力の向上、ディフェンス強化、そして試合のダメージ管理が次の課題となるでしょう。
次戦ではこれらの課題をどれだけクリアできるのか、そして2025年年内に世界タイトル挑戦が実現するのか、ボクシングファンの期待はますます視野にあります。
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